ガーン。過日、妻子とカラオケに行った際、ショックな事がありました。
イマドキのカラオケって、採点システムがあるじゃないですか。私はどうでもいいでんすが、子供たちがあれで競うんですよね。私は若い頃「打ち込み」という、コンピューターを使った音楽をやっていたのでシステムは理解できるんです。メロディーの周波数、長さ、音の強弱なんかを数値化して、マイクを通した私たちの声が、それにどのくらい近いかを機械が判定して、採点している訳です。視覚的には、左右に長く、山や谷のある線を、星のようなものが移動するという形で示しています。
ところが、私が歌っても、星が出ないんですね。周波数がずれているのかと思って、意識して音をホンの少しだけ高めにして歌ってみたら、出るんです。ということは、ジャイアンのような派手な音痴ではないにせよ、絶対音感を持っている人(やカラオケ機械)からすると、「あなたって微妙にずれているよね」=軽い音痴な訳です。あーあ。
セキュラーか非セキュラーか
……前振りが長くなりました。前回は映画と文学の話でしたが、キリスト教が最も影響を与えた分野と言えば音楽です。今回はキリスト教音楽についての話をしたいと思います。
音楽は大別すれば二つに分けられます。キリスト教音楽とセキュラー音楽です。セキュラーは「世の中の」という意味、つまり非キリスト教音楽という意味です。分けるポイントは、曲が作られた/演奏される目的(対象)です。
キリスト教音楽は、本質的に「神への捧げもの」です。ゆえに歌詞は基本的に神の栄光をたたえるものであったり、神に救われた自分がどれほど変えられたか、などが中心になります。歌詞を伴わない、インストゥルメンタルな曲であれば、その曲が作られた目的や演奏の目的が神を賛美することに置かれています。
キリスト教音楽は(セキュラー音楽もですが)、大別すれば二つに分けられます。「電気を使うか否か」です。電気を使わない(そして非常に楽譜を大切にする)のがクラシック、古くはグレゴリウス聖歌からバッハのマタイ受難曲まで、それはもう枚挙に暇がありません。
電気を使う音楽はコンテンポラリーミュージックに分類されます。CCM(コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック)と言うこともあります。コンテンポラリーは「現代的な」という意味です。
やっぱり米国が発信源
世界的には、CCMの2大発信源は、アメリカとオーストラリアです。アメリカのインターネットラジオ局、CBNのコンテンポラリーチャンネルを聞いてみてください。歌詞の意味が分からなければ、ドラムあり、ギターありの、いわゆる今風の音楽にしか聞こえません。この手のアーティストが非常に多いのが、アメリカです。
CDは、Amazonで購入できるものから挙げるなら(ちなみに私はアフェリエイトをする気がないので、このサイトを通じて購入されても私の収益にはなりません)、Integrity Musicの「iWorship」というコンピレーションアルバム(さまざまなアーティストの有名な曲を1枚に収めたもの)が入門編としてよろしいかと思います。少し古いですが、とりあえず1枚だけ挙げておきます。
豪州だってすごいぞ
オーストラリアには、世界的に有名なHillsong(ヒルソング)という教会があり、そこの賛美チームが送り出す曲は、世界中で愛されています。代表曲は「Shout to the Lord」と「The Power of Your Love」でしょうか。CCM界のビートルズ=スタンダードナンバーです。主要曲の作詞作曲、ボーカルを手がけたDarlene Zschech(ダーリン・チェック、女性)とReuben Morgan(ルベン・モーガン、男性)は、CCM界のレノン&マッカートニーです。主な曲はむろん日本語にも訳されていますし、旅行で韓国の教会に行った時も皆さん歌ってらっしゃいましたし(さすがに韓国語訳では歌えなかったので、一人英語の原詞で歌ってましたが)、ハワイのニューホープでも歌いました。
Hillsongは90年代から、毎年アルバムをリリースしています。私は妻の影響で聞くようになりました。映像がYouTubeにたくさんアップされているので百聞一見なのですが、歌の次元が違うんです。ギターだけで何人いますか? 後ろのコーラスはいったい何人ですか? 音の厚み、広がり、スケール感、とにもかくにもセキュラーの音楽とは次元が違う。メロディーも歌詞も素晴らしい。心の深い所にまで染みてきます。
CDは、Amazonで購入できるものから挙げるなら、これまた少し古いですが「Blessed」がイチオシです。「Through It All」「Make Me Glad」など、名曲中の名曲が入っています。
ちなみに本サイトのタイトルも、Hillsongのアルバム「Saviour King」から拝借しました。ちなみにちなみにオーストラリアは英連邦なので、SaviorではなくSaviour、ColorではなくColourとつづります。
1990~2000年代にかけて、私は新作がリリースされる度に追っかけていましたが、2007年の「Saviour King」から自分の感性との乖離を感じ始め、08年の「This Is Our God」を最後に、アルバムは購入していません。「Saviour King」以降Darlene Zschechがプロデューサーから外れ、曲づくりの方向性が変わったんですよね。Darlene Zschechの時代の歌は、予備知識のない高校生の娘が聞いても「これはHillsongの曲」というのが分かったんですが、今のHillsongは、One of CCMという感じで、区別がつかなくなってしまいました。ただ、若い世代にはこちらの方が受けるかもしれません。You TubeにHillsong Worshipという公式チャンネルがあるので、関心のある人は聞いてみてください。「アルバム」の項にある「Blessed」と「You Are My World」は、Darlene Zschech時代のものです。
余談ですが、Hillsongは世界各地に教会を持っており、洋楽好きの娘に「ジャスティン・ビーバーもHillsongの教会に所属しているらしい」と言ったら、驚いていました。
Hillsongから離れるに従い、私は歌詞のない音楽、つまりは映画音楽とクラシックに軸足を置くようになりました。年を取ったせいだと思いますが、にぎやかなCCMよりこちらの方が感性にフィットするようになったんです。今はCCMは「懐メロ」ですが(だから教会で新しいCCMを歌われてもついていけない)、車で長時間運転する時など、一人で大声で歌っています。