一文字違いで、大違い

 鹿児島に住んでいる時、山登りが家族の楽しみになりました。子供たちもそこそこ大きくなって、山頂まで一人で歩けるようになったことが大きいですね。鹿児島は火山県ですから温泉も豊富。山から下りた後に浸かる温泉は、格別でした。
 
 霧島山系の「高千穂峰」には、2回登りました。1回目は登り始めるのが遅かったので途中で引き返しました。リベンジの2回目で、無事山頂に。
 
 高千穂峰の山頂には「天之逆鉾」(あまのさかほこ)という、剣のようなものが刺さっています=写真。イギリス人が見たら「アーサー王伝説みたい!」と喜ぶかもしれません。詳しくは知りませんが、天孫降臨の地と言われるだけあって、鳥居もあります。
 
 それを見ていた、当時9歳の次男が、口をとんがらかして言いました。
 
 「あれは人間『が』作った神。僕らが信じているのは、人間『を』創った神。一文字違いで大違い~」
 
 「コイツ、分かっとるやんけ」と、心の中で舌打ちしました。

「神定義」の違い

 日本で「神」というと、目に見えないもの、スーパーナチュラルなものすべてを指します。都市部では見かけなくなりましたが、田舎では辻々に道祖神や地蔵が置かれていますし、お寺に行けばご本尊さまがいます。それが信仰の対象になっている訳ですが、私の目には、それは「人間が作った神」です。
 
 キリスト教で言う「神」は、もっと絶対的な超越者、この宇宙や人間を含むすべての生命を創造した創造主を指します。業界用語では「天地万物の主」と言います。人間が作った建物の中に収まるような方ではありません。
 
 「三位一体」(さんみいったい)という言葉を聞いたことのある人もいらっしゃると思いますが、神はただ一人の御方ですが、そこには三つの位格があると、私たちは信じています。
 
 第1位格は「父なる神」。つまり天地万物の創造主です。第2位格は「子なる神」。2000年前にイエスという名で地上に来られ、今は父なる神の右に座し、いつか再び地上に来られる、救い主なる神です。第3位格は聖霊なる神。私たちを成熟へと導き、真理を教え、励まし、賜物を与える、助け主なる神です。
 
 水の化学式はH2Oで、それが水の本質ですが、蒸気や氷に変わると役割も変わります。同じように神も本質においては同じですが、役割において表れ方が変わると言えます。クリスチャンになりたてのころ、ある牧師からは「貯水池が父なる神、導水管から蛇口までが子なる神、蛇口をひねったら出てくるのが聖霊なる神」と教えられました。ふむふむ。
 
 
 
 人間が作った神と、人間を創った神の違い、お分かりいただけましたでしょうか? そう言えば、「かね」(金)と「かみ」(神)、「とみ」(富)と「かみ」(神)も一文字違いですね。あなたはどちらを頼りにして生きていますか? 一文字違いで大違い~。