主の祈り、メシアによる補足
(6章14、15節)
中心聖句
もし人の過ちを赦すなら、あなたがたの天の父もあなたがたを赦してくださいます。(14節)
解説
聖書は文脈を意識して読むことが大事です。6章1~8節でイエスは偽善者や異邦人の祈り方を批判し、9~13節でどのように祈るべきかを説きました。14、15節はそれを受けてのものです。
9~13節は①御名が聖とされる②御国が来る③御心がこの地に広がる④日常生活に必要な物が与えられる⑤罪が許される⑥罪の誘惑から逃れられる--ように、と求める祈りです。
異質なのが12節です。ここだけ「私たちも、私たちに負い目(罪)のある人たちを赦します」と、「~ように」ではなく「~します」と宣言しています。
14、15節は、この点をメシア自ら補足したものと考えるのが妥当です。
適用
14、15節を字面通りに読むと、私たちが他者の罪を許すのが先でその結果神が私たちの罪を許す(あるいはその逆)、と受け取れますが、これは倒置的な強調でしょう。神は人類に先立って人の罪を許し、その解決策として御子を遣わした。御子は人々が自分の罪を意識する前に、自ら過越の小羊となられた。あなたがたの罪は先払いの形で許されているのだから、あなたがたも人の罪を許さなければならない。14、15節はそう理解できます。