高まりゆく摩擦
(21章)
中心聖句
ですから、わたしは言っておきます。神の国はあなたがたから取り去られ、神の国の実を結ぶ民に与えられます。(43節)
解説
①ロバに乗ってのエルサレム入城(1~9節)②2度目の宮きよめ(10~13節)③盲人らの癒やし(14~17節)④いちじくの木への呪い(18~22節)⑤権威論争(23~27節)⑥兄弟のたとえ(28~32節)⑦ぶどう園のたとえ(33~46節)--と、てんこ盛りです。
祭司長、律法学者、長老、パリサイ人らが主要キャラクターとして登場します。当時のユダヤ社会の指導者層です。宮きよめ、論争、たとえ話を使った痛烈な批判。イエスと彼らの摩擦は高まりゆく一方です。そのピークが、やがて訪れる十字架です。
挿入句的に挟まれるいちじくの木の呪いも、同じことを象徴しています。実を成らせないいちじくの木は、イエスを受け入れ、神の国の実を結ぶ民になろうとしない指導者層そのものです。
適用
兄弟のたとえで、指導者層と対になる人々が出てきます。取税人や遊女です。いずれも、当時のユダヤ社会の下層、アウトサイダーでした。しかしイエスが「神の国に入る」と言っているのは、彼・彼女らです。寄り頼むものがない、虐げられた立場だからこそ、神にすがりつくことができたのです。あなたはどちらの立場を選びますか。神は、その人が「神の国の実を結ぶ民」になるかどうかを注視しています。
余談ですが、28~32節、新改訳第3版までと2017版では、兄と弟の立場が完全に逆になっています。翻訳に際して見直したのだと思います。