嗚呼、川の流れのように

 鹿児島に住んでいたころ、奄美大島に3回行きました。2回は仕事で、1回は家族旅行で。「リトル沖縄」という感じで、なのに開発が進んでおらず、大好きでした。今も名刺入れは、奄美特産・大島紬のものを使っています。
 
 旅行の際には、川でカヤックに乗って遊びました=写真。マングローブの林の中を、流れに乗ってゆっくりと進んでいく。雨が降っていましたが、普段の時間感覚とは異なる、おだやかで楽しいひと時でした。
 
 台風の接近で、帰りの船が出るかとても気をもみましたが、何とか出港してくれました。大変だったのはそれから。海が荒れまくったせいで、船が上下左右に3Dで激しく揺れる(笑)。酔い止めの薬を飲んで、ベッドにあおむけになって、目を閉じて、ただもう、時間が過ぎるのを待つしかできない。本当に辛かった。
 
 
 
 あなたも、そしてすべての人がカヤックに乗っていると想像してみてください。違うのは、パドルがない点。流れに任せて進むしかできません。
 
 ほとんどの人には知られていないのですが、川の行き着く先はナイアガラの滝のような、奈落。最後は落ちるしかありません。
 
 助かる方法はただ一つ。ところどころに垂れ下がっている赤いロープにつかまること。それに飛び移れば、「蜘蛛の糸」のカンタダのように神さまが引っ張り上げてくれます。でも、そのチャンスは多くありません。
 
 
 
 あなたも、私も、そしてすべての人が、人生という川の上を、「死」に向かって一直線に流れています。キリスト教の教えでは、最後は、落ちるか、上がるかしかの二つしかありません。落ちたときの苦痛は、私が帰りの船で味わったものとは比較にならないことでしょう。
 
 私が本サイトに拙い原稿を書いているのは、一人でも多くの人にロープに飛び移ってもらいたいためです。あなたも如何ですか? チャンスは、そんなに多くないですよ。