物欲という名の電車

 神戸で育った私にとって「書店と言えばジュンク堂」です。創業者の工藤恭孝さんが、書店業進出に反対だった父、工藤淳の名前をひっくり返して屋号にした、というのは知る人ぞ知る話です。
 
 過日、ジュンク堂を訪ねた所、キリスト教書店でもないのに、「聖書フェア」をやっていました。クリスマスの時期だったからかもしれません。自分では、あまり物欲が無い方だと思っているのですが、針が振り切れてしまいました。
 
 おお、ヨハネの黙示録が漫画になっている! ビジュアライズが難しいヨハネの黙示録をよく漫画にしたなあ。ひょっとして世界初じゃなかろうか。流しで読んでみましたが、黙示録5章の「屠られた子羊」の描き方なんて、ファン・エイクの「ヘント祭壇画」の子羊を意識した描き方になっていて、とってもいい感じ。子どもたちにも読ませよう、と迷わずカゴに。
 
 「聖書を知ると英語も映画も10倍楽しい」。まあ一応、年間100本の映画鑑賞をノルマにしている身なので、読んでおいて損はないだろう。これもカゴへ。
 
 おおお、これはチゼーリの「エッケ・ホモ」(この人を見よ)じゃないか。カレンダーになってるのか。ちょうどいい、来年(2021年)のカレンダーがないので、買わないと。
 
 へえ、「アート・バイブル」という本があって、その一部をカレンダーにしたのか……って、よく見たら「アート・バイブル」「アート・バイブル2」も置いてあるじゃないか! こういう本、前から欲しかったんだよなあ。西洋絵画でキリスト教がどう描かれてきたか、体系的に勉強したかったんだよなあ。分厚いなあ……。オールカラーだなあ……。高いんじゃないかなあ……。1冊5000円切ってたら買ってもいいなあ……。え、3300円? 2冊とも買ってもいいじゃないか!
 
 暴走が始まりました。
 
 あれ、「巨匠が描いた聖書」なんてのもある。こっちの方が判が大きいし、取り上げ方も好きだなあ。作品は「アート・バイブル」と重なるに違いないけど、エッセンシャル版ということでこれも買っちゃえ! 2500円。ちーん。
 
 もうそろそろやめにしないと……。あ、でも「コンサイス 聖書歴史地図」。ペラペラペラ……。うーん、このエルサレム神殿の解説図、いいなあ。こういうリファレンス性の高い本は価値が古びないからなあ。津村俊夫先生が監訳かあ。この内容で1200円は安すぎるだろう。
 
 フェアを企画した店員さんの、完全に思うツボでした。
 
 合計1万4300円。「本との出会いは一期一会」「どうせ図書館には置いてないから買うしかない」「自分へのクリスマスプレゼントだ」「お前、普段からほとんど物買わないからこういう時ぐらいいいじゃないか」。いろんな理由を並べ立てて、買いました。
 
 リュックに入れましたが、まあ重いこと。この後、図書館に寄って、予約しておいた6冊を受け取ったので、荷物はさらに重くなりました。娘には「アホやろ」(笑)とあきれられました。はい、キリスト馬鹿です。