仏教界に学ぶ

若手が頑張っている

 「H1法話グランプリ2021」を見ました。前売券が完売、当日券は早い者勝ちだったので、確実なネット中継にしました。
 
 法話は、僧侶が説く仏の教えです。グランプリには各宗派から45歳以下の8組が出場しました。持ち時間は10分。審査員と会場の投票でナンバー1が決まるのですが、基準は法話の優劣ではなく「誰にもう一度会いたいか」でした。
 
 仏教イベントにどうしてクリスチャンが、と思うかもしれませんが、キリスト教でも礼拝中に牧師がメッセージ(説教)をするので似たようなものです。さらに言うなれば、
 
 ①他宗教に学ぶ点があれば謙虚に学びたい
 ②法話の良し悪しを客観的に考えたい
 ③教会に初めて来た人の気持ちを忖度できるようになりたい
 ④自分と会場の審査にズレがあれば参考にしたい
 
 --と考えたからです。私も本当に時々ですが、人前でお話する機会があるので。
 

スタッフ75人、聴衆760人

 漫才師ばりのトークと熱量で「元気が出る秘訣」を話した人、檀家を訪問した際に感じたことから淡々と話しを展開した人、地獄の存在と仏の救いを話した人、新型コロナで亡くなった檀家の葬儀に携わったエピソードを披露した人……。テーマは様々でした。
 
 キリスト教の説教も同じですが、法話が大きく2種類に分かれたのが興味深かったです。
 
 一つはパフォーマンス型。来場者に楽しく分かりやすく伝えようと、話し方に工夫が凝らされていましたし、時々笑いどころが用意されていましたし、内容も時事ネタが盛り込まれているなど平易なものでした。
 
 もう一つは伝統型とでも言いましょうか。語るべき教えを話術に頼らず語っていました。こちらの方は話に深みがありましたし、話者の品格を感じることができました。
 
 私は後者を好ましく思いました。私が「イチオシ」だった人とグランプリに輝いた人は幸い同一人物だったのですが、その人の法話は、場面が脳裏に浮かぶんですね。ビジョンが脳内で展開して、なおかつその人の伝えたいことが押しつけがましくない形で心に残りました。話があちこちに飛ばず、論旨も明解。アタマだけでなくココロに響く法話でした。
 
 自分がこのレベルで話ができるか、キリスト教界にこの水準で説教できる牧師がどのくらいいるか、と聞かれたら相当に難しいと思います。しかし、キリスト教界でも若手が切磋琢磨し合って、「アタマとココロに響くメッセージ」を多くの人に届けてほしいと思います。