アッラーの剣(つるぎ)

 私のUSBメモリーには、「イクソス(ΙΧΘΥΣ、イクテュスとも)の魚」と呼ばれるキーホルダーがついています=写真。
 
 イクソスはギリシャ語です。ΙΗΣΟΥΣ ΧΡΙΣΤΟΣ ΘΕΟΥ ΥΙΟΣ ΣΩΤΗΡ (イエス、キリスト、神の子、救世主)の頭文字を並べたものです。
 
 魚は初期のクリスチャンが自分たちのシンボルとして使っていたものです。ペテロが漁師だったことに由来します。
 
 職場に、私のUSBメモリーを時々借りに来る同僚がいます。どうして自分で買わないのか不思議でならないのですが、私はお貸しする度に「これを使うとクリスチャンにならないといけませんよ!」と言って渡します。
 
 彼は海外滞在歴の長い人で、キリスト教徒ではありませんが、エルサレムも嘆きの壁もヴィア・ドロローサも聖墳墓教会もヨルダン川もクォ・ヴァディス教会も訪ねています。ノアの箱舟が漂着したと言われるアララト山やアブラハムの出身地ウルの写真も見せてもらいました。キリスト教徒なら一度は見てみたい場所ばかりです。
 
 そんな彼ですから、イクソスの魚が何を意味するかも、知識として持っています。
 
 先日、いつものようにUSBメモリーを借りに来たので、「クリスチャンになられるなら!」と言って渡すと、ムスリムでもないのに「いえいえ、私はアッラーの剣ですから」と、にくい切り返しをされました。
 
 別れ際、「シャローム」(ヘブライ語で「神の平安がありますように」の意味)とあいさつすると、ニヤリとして「ラー、ラ、ラ、ラ」(アラビア語でNo, No, No, Noの意味)と返してきました。
 
 アッラーの剣がジーザスのしもべになる日は、なかなか遠いようです。でも、あきらめません。