先の原稿を長男に読ませたところ、興味深い指摘をしてくれました。
会社でタロウ氏なのは、上下関係や役割(中間管理職)の中で生きているから。
妻の前ではタロウ氏4:6たろう君。夫の責任・役割があり、年長でもあるので上下関係はあるものの比較的フラットでたろう君が出やすい。2人で撮った写真の表情も、たろう君が出ている。
長女の前では5:5。父の役割上タロウ氏が前に出るが、長女の「人を安心させる才能」によってたろう君も出ている。
長男の前では8:2。指導・教育をオブラートに包もうとする努力の過程で多少たろう君が出る。次男の前では9:1(笑)。
姪(小6)と甥(小4)の前では、「たろう君を装っているタロウ氏」。姪甥に合わせるため(=上下関係を取り払うため)たろう君である必要があるが、「『善き伯父』『頼りになる大人』でなければならぬ」という役割が姪甥に接する前提になっているから。
7歳年長の従兄と同い年の従姉の前ではたろう君。生まれた時から全部を知っている人なので安心している。
先日、大阪を訪ねてきた義弟と撮った写真は、たろう君が比較的出ていた。血のつながりはないが、身内の安心感か。
教会でたろう君が出ないのは、受洗して約30年という「先輩クリスチャン」としてのふるまいを求められていると自分では感じているから。礼拝後のグループタイム、ロジカルで明快な話をしようとすると途端にタロウ氏になる。
お酒を飲んだ時はたろう君だった。タロウ氏の統制がアルコールによって効かなくなったのだろう。
わが子ながら、鋭い……。
役割を演じるタロウ氏
会社の同期に、「人たらし」みたいなのがいるのですが、彼はいつもニヤニヤしながら、「よう太郎君、今日は何読んどるん?」「食事中も本読んで二宮金次郎みたいやな」などと冷やかして来ます。人の懐(=たろう君)にアクセスする才を持っています。
数少ない友人(クリスチャン)と話している時や、元大学教員が主宰する社会人ゼミを受けている間は完全にタロウ氏ですが、楽しそうなタロウ氏です。職場と違い「圧」がない中で知性がフル活動しているからでしょう。
先日、松山時代にお世話になった牧師夫妻+信徒夫妻+私ども夫婦3組でランチしたのですが、比較的たろう君が出ていました。両夫妻が私たちより年長で懐の深い方々なのと、信徒(夫)さんの方は世間的には社会的地位の高い方で(先日リタイアした)、「私のことを肩書で見ていない」安心感があったのでしょう。
上下関係や役割がなく、安心感が持続している環境、というのがたろう君には大事なのかもしれません。
へんてこファッション
長男と話していてもう一つ気づいたことがあります。私、通勤・外出時は、ワイシャツにスリムジーンズという、フォーマルとカジュアルの変な組み合わせなのですが、これは上半身がタロウ氏、下半身がたろう君を表している訳です。
長男に「コーディネート全体がたろう君になるような上着を買ってきて」と頼みました。どんな服を買ってきてくれるでしょうか。
追記:妻が面白いことを言いました。「自分は太郎の職場の同僚に会いたくない。職場の人は『タロウ氏の』奥さん像を勝手に想像しているが、自分はそれからかけ離れているから」と。
確かに。妻の言う「タロウ氏の奥さん像」は、だいたい身長が160センチ台で、しゅっとしていて(関西で「しゅっとしている」は褒め言葉。すらりとして知的、ぐらいの意味)、髪がロングで、美人系で、ヒール履いていて、スーツが似合って……まあ何てステレオタイプ(笑)。
実際の妻は、身長150センチちょっと、無駄な肉はついていませんが「しゅっ」とはしていなくて、ショートカットにパーマを当てていて、美人系ではなくかわいい系で、地頭はいいんですがポンコツなところもいっぱいあって、ヒールは苦手で、美大系、原色系のファッションで……と正反対。子どもの頃はお転婆、今も体を動かすのが好きで、「ええ所のお嬢」には見えませんが(笑)、とても愉快で、心安らぐ人です。