この絵、誰を描いたものでしょう? と聞かれたら、即答できると思います。
どこで保管されているでしょう? と聞かれたら、美術好きな人は答えられるでしょう(神戸市立博物館)。
では、どこで発見されたものでしょう? 私も知りませんでした。
大阪府茨木市の山奥の小さな集落です。茨木市と言えば茨木童子、川端康成が有名ですが、まさかザビエルまで関係しているとは。
先日、茨木市立キリシタン遺物史料館を訪ねました。ザビエルの絵もそこで撮ったものです(複製でしょう)。
隠れキリシタンと言えば長崎県、中でも島原(と熊本の天草地方)が有名です。私も島原に8年間勤務したので少しは知っているつもりでしたし(当時は世界文化遺産への登録運動が盛んだった)、現在の大阪・北摂地区を治めた高山右近がキリシタン大名であることも知っていましたが、茨木市に隠れキリシタンの里があることは、不明にも知りませんでした。
車1台通るのがやっとの細い道の先に史料館はありました。発見された民家の隣に建っています。誰も来なかったので、1時間ぐらい展示物や解説映像を見ていました。
墓碑、メダイ、キリスト像、高札、聖母マリアとキリストの物語を描いた絵など、興味深いものばかりでした。
私はプロテスタント福音派と呼ばれる米国の影響を強く受けたグループに属しているので、おそらくカトリックの方ほどには共振できなかったと思うのですが、それでも、中東のユダヤ教の一派がキリスト教となり、欧州を経て極東に伝わり、さらに山深い集落でガラパゴス的に守り抜かれて今に伝わることには、感じ入るところがありました。
世界文化遺産になったのは「長崎と天草地方の」潜伏キリシタン関連遺産で、信徒発見のようなドラマティックな要素もなかったのですが、茨木の史料や歴史も、関連遺産として含めればよかったのに、と帰り道考えました。
キリスト教徒なら、新教、旧教問わず、一度は訪ねる価値のある施設だと思います。無料ですよ。
茨木童子、川端康成、ザビエル
