高3に語るマタイの福音書31

ヘロデ・あかんティパス

(14章)

中心聖句

 王は心を痛めたが、自分が誓ったことであり、列席の人たちの手前もあって、与えるように命じ、人を遣わして、牢の中でヨハネの首をはねさせた。(9、10節)

解説

 どこで区切るかは人によって多少異なると思いますが①ヨハネの処刑(1~12節)②5000人の給食の奇跡(13~22節)③湖上の奇跡(23~36節)--に分けられます。②と③は語り尽くされているので、①を詳しく見たいと思います。
 
 こちらにも記しましたが、領主(古い訳では国主)ヘロデはヘロデ大王の息子です。ヘロデ・アンティパスと言います。領主ヘロデの罪は(1)妻がありながら、兄の妻ヘロディアを略奪婚した(2)その罪を糾弾した洗礼者ヨハネを、正しいと知りつつ幽閉した(3)民衆の顔色を恐れた(4)娘サロメに安易な約束をした(5)言行不一致と咎められるのを恐れ、自らの対応やサロメの要求が間違っていると知りつつヨハネを処刑した--です。
 
 (1)は道ならぬ男女関係、(2)は悪いと知りつつ心に蓋をする行為、(3)は事なかれ主義です。安易な約束、言行不一致を含め、「それはアカンやろ」と思いつつも、そのような要素、心の弱さが私たちの内にないだろうかと自問自答せずにはおられません。

適用

 ルカの福音書23章、十字架を前にしたイエスへの対応において、領主ヘロデの、この心の傾向は反復・強化されています。自ら神の前にへりくだり、悔い改め、聖書の言葉と神の光に照らされない限り、人は心の弱さのループから抜け出すことはできません。それが破局的な結果を招く前に、あなたの心を神の前に差し出しませんか。神は決してそれを、恥となさいません。