この不確実な世界の片隅で

 「リア充へのドア」で、「横の関係は自分自身から家族親族、友人、ご近所さんや学校、職場の人、同じ自治体、国、エリア、世界……と同心円状に広がっていきます」と書きました。
 
 世界に目を広げると、気候変動や疫病、戦争など気の滅入るようなニュースばかりが飛び込んできます。
 
 国レベルでも、「失われた30年」だの少子化だの殺伐とした事件だの、暗い話題が多いように見受けられます。明るい話題はスポーツの話ぐらいでしょうか。
 
 VUCAという言葉があります。「不確実性に満ちた予測不可能な世の中、未来」ぐらいの意味でしょうか。
 
 同心円が広がるほどVUCA度は高くなり、個人のコントロールが及ばなくなります。逆に言うと、個人の努力で何とかなる(かもしれない)のは、神と自分の関係、家族親族、友人、ご近所さんや学校、職場の人との関係ぐらいまででしょう。
 
 自分の半径5メートル内の領域を安定させ、広げ、この世界の片隅で確かなものを築き上げていく。それは、幸いな人生を送るうえで欠かせないものだと私は考えます。
 
 先日、会社を辞めた若い同僚(もはや元同僚か)の送別会を開きました。参加者から主賓に一言ずつ……ということで、私はVUCAの話をしました。
 
 「一番大事なのは、絶対確実な神に縋ることだけど、キリスト教信仰は強制できない。次善としては、君は結婚願望が強いんだから、いいお相手を早く見つけなさい」と言った所で、すでにベロンベロンだった彼に遮られました。
 
 5年後、10年後に集まることがあったら、彼はどうなっているでしょうか? 幸いな人生を送っていてほしいと、心から願います。