この人と結婚していいの?

 時々、不思議に思うことがあります。
 
 人生前半の節目って、高校受験(早い人だと小学校や中学受験)、大学受験、就職試験、結婚、出産だと思うのですが、受験や就職活動では必死に勉強や情報収集するのに、結婚相手を選ぶ時や子育てする時って、日本人は事前に体系だてて勉強しないというか、先人たちの知恵の集積である本を読んで学ばないというか、自分が親からされた通りに、あるいは見て育ったようになど、体験と肌感覚でやっている人が多いように思うんですね。
 
 でも、どこの学校や企業に入るかより、どんな人と結婚するか、子どもをどう育てるかの方がずっと大事だと思いませんか?
 
 私は本書を、結婚を前にした女性の友人たちに勧めてきました。著者の石井さんが米国の教会で学んだ理論が本書のベースになっているとみられますが、石井さんなりの体験を通じた言葉にきちんと落とし込まれており、大変楽しく読めます。
 
 男はウルトラマン思考で女性はシンデレラ思考▽女性が正常なのは1週間▽破局を避けるための心得▽結婚前に受けるべきカウンセリング▽100%のコミットメント||など、非常に具体的かつ実際的なアドバイスに満ちています。私たちが肌感覚で何となく理解していたものを、きっちりとした形で示してくれています。硬い文章になってないのは、筆者のセンスでしょう。男性が読んでも女性が読んでも受け入れられると思います。
 
 既に結婚してしまった人が読んでも十分勉強になる本です。私も時々、復習のために本書を開きます。数百円で「転ばぬ先の杖」を手に入れられるのですから、これを読まない手はありません。
 
 殿堂には入れていませんが、内田樹さんの「困難な結婚」(アルテスパブリッシング)も併せて読まれると、なお理解が深まることと思います。

(石井希尚、新潮文庫)

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